6年間の学び
1 演習や講義を通して歯科医学に必要な基礎を学ぶ
高校レベルの知識を学びなおすリメディアル教育として「基礎科学A(生物・化学)」「基礎科学B(数学・物理)」を設けています。一方で既に十分な基礎学力を見つけている学生には、「歯科医療体験・見学演習(メディカルコンソーシアム見学)」を選択科目として設けています。また、国際性を育むために主体的に取り組む科目として、「韓国語入門」や「中国語入門」を自由科目として設定しており、数学・物理・化学・生物については、1年生のみならず2年生以降の歯科専門科目との連続性を持たせ、広い視野で理解できる力を養うことを目指しています。キャリアデザインを含む「歯学のためのリベラルアーツ」、社会人、医療人、歯科医師として修得すべき能力や多職種連携を知る「臨床医科歯科概論」、継続的な自己改革を展開できる批判的思考力、主体性などの育成を期待する「PBL演習」を取り入れています。更には、文部科学省数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)の認定を受けた「数理・データサイエンス・AI」や異文化コミュニケーション及び心理学を学ぶことを通して歯科医師として患者さんの気持ちに答えられる心温かい医療人になることを目標とする「コミュニケーション概論」を学びます。
(1年次履修科目)基礎科学A(生物・化学)、基礎科学B(数学・物理)、歯科医療体験・見学演習(メディカルコンソーシアム見学)、臨床医科歯科概論、韓国語入門、中国語入門、コミュニケーション概論、歯学のための英語Ⅰ、スポーツⅠ、歯学のための日本語Ⅰ、歯学のためのリベラルアーツ、歯科美学、歯学のための生物、歯学のための数学・物理、歯学のための化学、形態学概論、PBL演習、生化学Ⅰ、生理学Ⅰ、スポーツⅡ、数理・データサイエンス・AI、栄養学・食育、災害歯科医学、自己探求学Ⅰ(振り返り講義)
2 歯や口腔の形態・組織、人体構造機能を学ぶ
2年次は、3年次以降の学びの土台となる、医学・歯学の専門基礎知識を身につけます。
1年次に学んだことに基づき、人体の細胞レベルから組織レベルへと、学びの対象をステップアップ。全身や歯、顎、顔面などの構造および機能について学修します。
「全身解剖実習」では、ご提供いただいた献体から筋・骨や内臓の形態を理解し、全身疾患を持つ有病者に対して診療を行うための基礎を身につけます。この実習は、医療を志す学生にのみに許されたものであり、病院実習と同等の実習であり、班員と協力して解剖を進める最初のチーム医療でもあることを念頭に実習を行います。
「歯科理工学」では生体材料(歯科材料)に使用される素材、器械・器具の特性と用途に応じた所要性質を理解し、歯冠修復あるいは補綴装置の製作手順等を理解します。
(2年次履修科目)歯の形態学、衛生学、歯学のための日本語Ⅱ、組織学・口腔組織学、全身解剖学、発生学、口腔解剖学、微生物学、生理学Ⅱ、生化学Ⅱ、全身解剖実習、一般病理学、口腔解剖実習、歯科理工学、歯科放射線学Ⅰ、歯科病理学、唾液腺学、自己探求学Ⅱ(振り返り講義)
3 歯学・医学の専門的な知識を学ぶ
3年次は、いよいよ治療にいたる一連の流れに必要な知識・技術を学ぶ学年に。臨床系の科目が増え、実習が多くなります。
「社会歯科学」では、医療保険制度や歯科医療に必要な法律・制度、チーム医療について学びます。全身の状況と口腔内の状況の密接な関係を理解する科目の一つとして、「総合医学」があります。血液疾患や呼吸器疾患、腎・尿路器疾患など、歯科領域と関連が深く、歯科医療を遂行するために必要な全身疾患に関する知識を得ます。同時に、口腔との関連を統合的に理解する科目です。一方、「部分庄義歯学」では、歯の欠損に対するブリッジ治療など、欠損補綴処置に関する知識を修得。治療手順、基礎的技術を理解します。
(3年次履修科目)歯科放射線学Ⅱ、薬理学、歯周病学、保存修復学、全部床義歯学、予防歯科学、歯学のための日本語Ⅲ、総合医学、歯内療法学、部分床義歯学、歯冠補綴学(クラウン)、社会歯科学、法医学、自己探求学Ⅲ(振り返り講義)
4 歯科医師としての手技や医療コミュニケーションを学ぶ
4年次は、3年次より一層専門的な学びに移行します。3年次に学んだ基本的な治療に関する知識や技術をもとに、高齢者や子ども、障がい者など、特殊な治療にも対応していけるようにステップアップ。
「医療コミュニケーション」では、患者さんが安心して医療に参加できる環境づくり、医療を安全に提供できる体制づくりなどを学びます。特色ある科目「法医学」では、災害時における身元確認や犯罪捜査におけるDNA鑑定など、歯科医師として法医実務に携わる際に必要な知識や手法に関する理解を深めます。4年次の終盤は「総合歯科学Ⅰ」がメインに。共用試験や5年次以降の臨床実習に向けて、基本的な歯科医療知識、技術、および態度を総合的に修得します。
(4年次履修科目)歯冠補綴学(ブリッジ)、インプラント学、歯科麻酔学、口腔外科学、歯科矯正学、小児歯科学、医療コミュニケーション、高齢者歯科学、障害者歯科学、医療コミュニケーションのための日本語、総合歯科学Ⅰ- A、総合歯科学Ⅰ- B、総合歯科学Ⅰ- C
共用試験
臨床実習開始前の試験
5年生で実施する臨床実習で、「指導歯科医のもと許された範囲の医療行為を行ってよいか。」を判定する試験で、2024年度より歯科医師法に定められました。
これには2種類の試験があります。
- ・CBT (Computer Based
Testing)
臨床実習開始前に学生が備えているべき知識の統合的な理解と問題解決能力を評価するため、コンピュータ画面上に提示される問題を次々に解答していく試験です。 - ・Pre-CC OSCE (Pre-Clinical clerkship Objective Structured
Clinical
Examination)
歯科医師に求められる態度や基本的な診療技能を評価するため、模擬患者やシミュレータを利用して、その対応の仕方を評価する試験です。
2つの試験に合格すると、進級しStudent Dentistとして歯科医業を行うことが法律で認められます。
5 最先端の附属病院で臨床実習を通して実践力を学ぶ
5年生は実際の医療現場で診療参加型の臨床実習がスタートします。診療技術に加え、より良い医療サービスの提供など、医療現場で求められるスキルも磨きます。神奈川歯科大学附属病院と横浜研修センターにおいて実習をします。特に障がい者歯科は全国の大学附属病院でも設置が少なく、学外実習として市の乳幼児健診や県の福祉施設における研修も行われます。また口腔外科では病室における実習も含み、看護師の患者さんへの対応なども学習します。各診療科での実習のみならず臨床座学や演習で様々な症例とそれに対応する知識を深め、スキルを磨いていきます。
(5年次履修科目)臨床実習
【診療科一覧】歯科口腔外科/小児歯科/矯正科/総合歯科(初診急患)/放射線科/障がい者歯科/麻酔科/薬剤科/臨床検査科/病理診断科/横浜研修センター/学外実習
診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験
臨床実習後の試験
大学を卒業させてもよいと判断できる臨床能力を修得したか、卒業後の臨床研修を開始できるレベルに到達できたかを評価する試験です。2種類の試験が行われます。
- ①臨床実地試験(Clinical Practice Examination ;
CPX)
臨床実習現場での態度を中心とした評価をする試験です。 - ②一斉技能試験(Clinical Skill Examination ;
CSX)
診療技術の修得状況について模型を用いて評価をする試験です。
6 6年間の知識をもとに総合的な歯科医学を学ぶ
6年生の「総合歯科学Ⅱ」では、6年間で学んだ歯科医学に関する知識の整理と集大成をする講義を実施しています。各専門分野から選ばれた担当教員は、過去の国家試験問題を分析し、必要な項目について効率よく指導します。5年生の3月からスタートし、必修基礎養成期、必修臨床養成期、総論養成期など各クールごとに到達試験を設け勉強の完成度を把握。週末試験などで自学自習スキルも高め国家試験に必要な知識の定着を確実なものにします。最高のモチベーションで国家試験を受験できるようにします。
毎週の確認試験などで自学自習スキルも高め国家試験に必要な知識の定着を確実なものにします。6年生には専用の自習室が設置されており、集中できる環境を用意しています。
また、クラス担任やチューターは国家試験に向けてのアドバイスや国家試験に対する精神的なプレッシャーへの対応も考慮し、勉学に励める環境づくりを心がけています。きめ細やかな指導は好評で学生からもよく相談事が寄せられます。
(6年次履修科目)総合歯科学II